三つの柱

論計舎には「セッション主義」、「対話の重視」、「学びのオートクチュール」という三つの柱があります。
これらは密接に関わり合っています。

セッション主義

論計舎の中心となるサービスはチューター講座です。チューター講座はZoomを用いた通話にて選りすぐりの講師たちが数学の学びをサポートします。
その中心にあるのが、セッション主義なのです。

われわれは一回の通話を「セッション」と呼びますが、これを一つないし二つのトピックについて徹底的に議論する単位と捉えています。
「対話の重視」で後述するようにわれわれは、議論することを重んじます。そして、一つの通話の中でわれわれが提供するのは、わかったつもりになれる冴えた説明でなく、正確な理解に至るための堅実な議論なのです。
一人の講師と徹底的に議論し特定のトピックについて会得していただく。このための通話のあり方をセッション主義とわれわれは呼んでいます。

セッションの中で具体的にはたとえば、講師がまず「お手本」として数学の内容を解説してから、続いてそれを生徒さんに同じ範囲について発表していただき、最後に講師が質問・コメントをします。この質問・コメントにより、生徒さんは「わからないこと」に自ら気が付きます。それを二人でさらに解決していくのです。

このやり方は大学数学科でよく行われるセミナー・輪読という形式に倣っています。このセミナー・輪読の精神が、次で述べる「対話の重視」です。

対話の重視

われわれはセミナー・輪読という形式を重んじ、その対話を重視するという精神を重んじます。

大学のセミナーないし輪読は、少人数で集まり誰かが講義を順番にするというものです。具体的には、読み進める本や論文をきめ、学生がそれについて他の学生や教官の前で説明・発表をします。発表者以外は、発表者に質問をし、双方の理解を助けます。発表者は、読んで理解したことを講義するので、あらかじめ内容を把握し相手にわからせる必要があります。他人に説明しようとすると、自身の理解は深くならざるをえません。さらに内容の把握のために自身のわからないことを自力で理解しなければなりません。
この輪読という形式の根底に、数学は対話を通して学ばれるものであるという考えがあります。

その輪読という形式の精神をオンラインでしかも一対一の形で再現するのが論計舎です。

論計舎の生徒さんは、講師との対話を通して「わからないこと」がわかるようになる、つまり疑問に気が付く能力を得ることができるようになります。
論計舎の生徒さんは、講師との対話を通して教科書を読んだだけではわかったつもりにはなれても理解に自信がなかったり使いこなせなったりする数学の知識を理解し使えるようになります。
論計舎の生徒さんは、講師とは対話を通して自身では理解したつもりになったものをいっそう深く理解できるようになり、自信をもって数学を理解したと考えられるようになります。
それはチューター講座のセッションを通してかもしれませんし、メンター講座でのチャットでのやり取りを通してかもしれません。

そうした対話の意義を深化させるのが、「学びのオートクチュール」です。

学びのオートクチュール

オートクチュールの歴史はフランス革命に遡ります。
十九世紀フランス革命によって身分制度が廃止されたフランスでは、人々が自分好みの服を着れるようになり、大衆向けにデザインや大きさが統一された衣服が登場しました。
それでも仕立て屋に頼んで特別に服を作ってもらう事はなくなりません。そんな中で生まれたのが「オートクチュール haute couture」です。
これはフランス語で「高級」を意味する「オート haut」と、「裁縫」を意味する「クチュール couture」が合わさって出来た「高級仕立服」を指す言葉です。
貴族でなく市民に高級な仕立て服を提供するのが、オートクチュールの始まりでした。

数学は往々にして、大学をはじめとする専門機関に所属する人や最初からそうした人との繋がりを持つ人しか学べなかったりしますし、その学習は時間や習熟度による制約や目標に制限されてしまいがちです。

その限定や制限を取り払った質の高い数学を学習する機会を提供するために論計舎は、生徒さん個人のご都合や習熟度、目標に沿ってカリキュラムを提案します。これを「学びのオートクチュール」と呼んでいるのです。

そして、それを可能にしているのが、セッション主義であり対話の重視なのです。

さらに論計舎の生徒さんは卒業後の論計舎と講師さんと繋がりを持ち続けます。オートクチュールの衣服をサイズ直したりメンテナンスするように、論計舎は生徒さんの卒業後も講師とパーソナルな繋がりをもっていただけ、たとえば論計舎を通してキャリアアップできたのちもセカンドオピニオンを提供者や新しい活躍の場での外での相談の相手になるのです。