ゲーデルの不完全性定理への12講の初回を2022/09/11(日)に終えました。
この連続講座について
2022年9月から毎月一回一年かけた「ゲーデルの不完全性定理への12講」という有料連続講座を開設しました。数理論理学とは何かという話から始めて第一不完全性定理をお伝えし、第二不完全性定理を紹介します。
なお、メンター講座を同時受講することで、ついていくのに不安があるという方へのサポートが可能です。
発表者
川井 新 (Shin Quawai)
論計舎主催・講師。 論理と計算の関わりに関心をもち、在野研究者として活躍中。他に哲学的論理学も専門とする。RIMS共同研究にて口頭発表2回。論理学友の会発起人。指導実績のある分野に、線形代数、微分積分学、数理論理学。ウィスキーと珈琲を好む。
いっそうの詳細は、こちらの公式ページからご確認ください。
やり終えて
今回は "HIstorical Backgrounds" と題して不完全性定理前史の話を中心に歴史的な話をしました。
これは、残りの11回で数学的な話題に集中するため、哲学的だったり歴史的だったり話題を露払い的に初回に話させていただいたものです。
私は哲学と数学は専門と言えるかもしれませんが、歴史は専門でなく、歴史を物語を持って適切にまとめられた自信がありませんでしたし、実際に講義を終えたあと反省点ばかりでした。
しかしながら、よくある不完全性定理に至る歴史でなく、比較的新しい研究に沿ったおそらくwebでは初めて話される内容も話せたという自負も同時にあります。
話したこと
マクラ
よく紹介される不完全性定理を「解釈としての不完全性」として紹介し、「数学の定理としての不完全性」と比較して、その関係から林、八杉がヒルベルトのテーゼと呼ぶものを抽出しました:
数学とは数学の形式系である
これは「テーゼ thesis」というくらいで数学に対する立場表明にすぎない。
この立場・態度にはグラデーションがあるということから、様々な解釈が生じ、不完全性定理への誤解や混乱が頻発するという考えから、あえて歴史、それも不完全性定理の前史を話すことにより、この仕組みを理解していただこうということです。
それにより、哲学的問いから峻別でき数学的内容に残りの11回で集中できると考えたのです。
数学の厳密化と実数の発生学
数学の厳密化は、19cには「算術化」とも呼ばれ、コーシーやワイエルシュトラスによる解析学の算術化から始まりました。
例えば、有名なイプシロン-デルタ論法はここから始まりました。
これらにより、連続関数についての性質が証明可能になりました。
ワイエルシュトラスは、その証明に必要な実数を有理数の算術をもとに厳密に定義しました。
今回の講義では、この定義方法を通して「発生学」と呼びました。
カントールの集合論とそれへの批判
カントールはフーリエ級数を研究する中、「フーリエ展開の一意性定理」を1970年に解決し、その定理の拡張を考えます。
その中で「例外点」というものの「個数」によって成立・不成立をいえ、拡張可能だと考え、個数の考えを無限にカントールは拡大します。
これが集合論の萌芽です。
19cに発見された多くの新しい「数」や「数」の中でもカントールの「超限数」は賞賛以上に批判を浴びました。
つづき
この後、需要史、論理主義とメインい形式主義を紹介しました。なお、直観主義については割愛しました。直観主義に関するものをエクストラなかたちで開講できたらなと考えています。
録画および資料の購入にご関心の方は、以下のフォームよりお申し込みください。
コメント